『パクチユン20周年写真集&ライブアルバム parkjiyooon 20th anniversary photo & live album』本が宝物になる時

韓国の歌手パクチユン

アジアのポップスが好きでよく聞きます。
あんまり新しい方をフォローできていませんが、もう30年以上いろいろと聞いています。

インドネシア、マレーシア、タイ、香港、台湾、中国、韓国、それぞれに好きな歌手がいます。
なかでも、10年以上CDを買い続けている、特別に好きな歌手が数人いて、この本のパクチユンもその一人です。

韓国のアルバムの事情

この本は、2018年に発売されたパクチユンのライブアルバムに付いているもの。
というか、本にCDが収められた体裁となっています。

デビューから20周年を記念してリリースされたものなので、デビュー以来の写真がたっくさん収められています。
ファンとしてはたまりません。

音楽がCDでの販売よりもネットでの配信に移行している時代です。

海外に旅行に行って、その国の歌手のCDを買おうとしても、CDショップ自体がほぼ全滅のような状態が多いです。これは数年前からのことで、インドネシア、マレーシアなどを旅行しても売られているのはだいぶ昔のCDばかりというお店を見てきました。

韓国の場合も、CDを売るというよりも、CD付きのグッズ販売のような感じにどんどん移行しています。

このアルバムも、そういう流れもあって、本の形になっているのです。

いろんな経緯があっての本

パクチユンは1997年に15歳でCDデビュー。

2000年に4枚目のアルバム「成人式」が話題作となります(上の写真はその時のもの)。
このアルバムをプロデュースしたのがNiziUをデビューさせたJYParkでした。
「成人式」も含めて2003年までにJYPレーベルで3作を発表。
いずれもキャッチーなイメージを作り上げ、話題性を狙った感じのアルバムでした。

韓国のアーティストはアルバムが何枚目かというのをすごく重視します。
パクチユンの場合は1~3がアイドル、4~6がJYPレーベルでの話題性を狙ったものでした。

この後、7枚目が出るのか? と思ってずっと待つことになります。今のように海外のアーティストの情報もそんなに簡単には手に入らなかった時代です。

なかなかCDが出ず、6枚目で終わりなのかな? と思っていた2007年にようやく出たのはCDではなく、CD付きの書籍でした。
パクチユン本人が撮った写真や、本人が描いたイラストも収められた本に、楽器とハミングだけの曲が収められたCDです。
この時に、その後進む道がはっきりと示されて、CDが徐々にリリースされて現在に至ります。

7作目以降は、JYPレーベルでのアルバムとは全く違う、大人のポップスという感じのもの。
いずれも非常に美意識が強くて、ファンとして聴くにはよいですが、周りは大変だろうなあ、と思うような作品ばかりです。

9枚目のアルバムでは本人撮影の写真集が付いていましたが、これもクオリティがかなり高いものでした。

書籍も出し、写真集付きのアルバムも作った、そういう経緯があってのこの本というわけです。

本という形態の魅力

とはいえ、ファンにとっては、好きな歌手の昔から今に至る写真がたくさん載っているだけで嬉しいものです。私も2冊買って、1冊はシュリンクのまま保存しておこうかと思ったくらいでした(その後、実際に1冊追加で購入しました)。

不思議なもので、書籍が売れない時代ではありますが、CDに付いている書籍は宝物みたいなところもあります。

書籍として流通はしていないけれど、宝物のように受け取られる本。いろいろ考えさせられます。

パクチユンの本については、また書きたいと思います。
単にファンなだけではあるのですが、本というものを考える上で面白いかもしれないので。

hosokawakobo
細川生朗 Hosokawa Seiro
1967年生まれ。1991年に情報センター出版局に入社。『水原勇気0勝3敗11S』『いちど尾行をしてみたかった』『笑う出産』などのヒット作を編集。1994年に『きょうからの無職生活マニュアル』、1998年に『旅の指さし会話帳①タイ』を企画・編集。いずれも累計100万部以上のシリーズとなる。2001年に情報センター出版局を退職。その後、フリーの編集者として、実用書を中心にした単行本の企画・編集、自費出版の写真集や記録集の編集、社史の編纂などを手がけつつ、指さし会話帳シリーズの編集も続けている。