『高幡御家寶暦(宝暦)』毎年の更新でコンテンツが充実していく

東京のお寺、高幡不動尊の暦

新宿から京王線の特急に乗って30分と少し、高幡不動駅で降りて参道を歩くと高幡不動尊があります。

成田山新勝寺などと並んで関東三大不動と呼ばれ、毎月28日は多くの人でにぎわいます。

このお寺の近くで育ったので、お参りに行ったことは何度となくありますが、この暦(小冊子)を買ったのは3年ほど前が最初でした。

売店に並んでいるのをたまたま見かけて、軽い気持ちで買ってみたのです。

そして、、、生まれ年ごとに、月ごとの運勢が書かれているのですが、これがその時によく当たりました。
しばらく、その月ごとの占いを熟読しながら生活していた時期もあります。

当たる、当たらぬは、その言葉との出会いもありますし、相性もありますから、人それぞれだと思います。
ただ、その占いと別に驚いたのはこの暦の内容の充実具合でした。

記述それぞれが濃い

A5判、50ページ強の全てのページに、ぎっしりと情報が詰め込まれています。

いくつか抜き出してみると、、、

・高幡不動尊の由来
・六曜星について
・二十四節気について(立春、啓蟄、春分、、、等々)
・祝日
・新暦と旧暦
・1年365日それぞれの予定行事など
・それぞれの月の運勢
・株や商品相場の予想
・生まれ年と厄年

などなど。それが細かい文字でぎっしり並んでいます。

それぞれの記述も、書きたいことはたくさんあるものの、字数が限られるので凝縮してこれだけにまとめた、という印象のものばかりです。

どのページも内容がぎっしり入り、記述も濃い、それが全体の印象です。

更新されながら完成度が上がっていく

ガイドブックのような本を作るときに、最初の苦労はとても大変なものがあります。

しかし、その本を改訂するときは、最初ほどの苦労はせずとも、内容が非常に充実していきます。
初めてガイドブックの改訂をしたときは、そのことに非常に驚きました。

前の土台があって、1年経って見直すと直すべきところが出てくるはずです。
そういう作業をしながら、新しいことを付け加えていく。
最近のことでいえば、天皇誕生日の記述は変更、みたいなことです。

こういう作業を何年も積み重ねていく中で、いろんなページの、細かい文章それぞれの完成度が上がっていく、そうやって出来ているのです。

ガイドブックなどの書籍で言えば、3回、4回と改訂を繰り返した本の強さに、新規で対抗するのは簡単なことではありません。

同時に、改訂を繰り返しているうちに、企画自体が古びてしまうこともあります。

今回、宝暦をネットで調べてみましたが、ほとんど情報が出てきませんでした。
ネットで語られることが少ないのかもしれません。

他のお寺や神社、一般売りされているものなど、気にして見つけてみたいと思います。

hosokawakobo
細川生朗 Hosokawa Seiro
1967年生まれ。1991年に情報センター出版局に入社。『水原勇気0勝3敗11S』『いちど尾行をしてみたかった』『笑う出産』などのヒット作を編集。1994年に『きょうからの無職生活マニュアル』、1998年に『旅の指さし会話帳①タイ』を企画・編集。いずれも累計100万部以上のシリーズとなる。2001年に情報センター出版局を退職。その後、フリーの編集者として、実用書を中心にした単行本の企画・編集、自費出版の写真集や記録集の編集、社史の編纂などを手がけつつ、指さし会話帳シリーズの編集も続けている。