『自宅でできるライザップ チューブトレーニング編』本が紙だけで完結しない時代

お得感のある一冊!

ライザップのテレビCMを見ると、「イヤイヤ、大金払ってまでやりたくない」とは思うものの、内心では興味のあるオッサンな私。
自己流で筋トレをやって、膝や手首を痛めたりしていた頃、書店でたまたま見かけたのがこの本です。

『自宅でできるライザップ チューブトレーニング編』扶桑社/2019年6月発行。

ジムに行くとチューブトレというのがあると知識では知っていて、やってみたいという思いもありましたが、なんとこの本には最初からチューブが付いてきます!
付属のチューブですぐに始められるとは!
そして「ライザップが1500円+税で出来るなんて!」というお得感もありました。
そんなに興味あるなら、素直にライザップ行け、という感じもしますが(^^;

すごく効果あり

結論を言うと、この本で解説されている方法でトレーニングすると、自己流でやっていた筋トレの3倍くらいの効果が感じられました。
自己流の筋トレはけっこう苦行のような感じでやっていたのですが、この本のトレーニングはそういう感じは全くなく、でも効果が着実に出ます。
トレーニングは科学的・合理的にやるほうがよいのだなあ、と思った次第です。

本自体の作りは、チューブトレーニングの基礎的な考え方が説明されています。
その後に実践編として実際のトレーニングのメニューが写真付きで説明されていきます。
まずは慣れる運動、脂肪の燃焼、そして筋肉をつける部位などを考えたトレーニング、と徐々にレベルアップしていきます。
2カ月間の日程の目安や、自分の体の変化や体重を記録できるダイアリーもついています。
全112ページ。きれいにまとまっている印象です。

QRコードで見られる動画

この本を買ってみてなるほどと思ったのは、QRコードをスマホで読み込むとリンク先の動画が見られることです。


数年前であればDVD付きだったでしょうが、今はDVDプレーヤーがない家も多いでしょうし、スマホは誰でも持っていますから、動画の解説はこの形が一番よいのでしょう。
動画のリンク先はYoutubeではなくて、出版社のサイトです。

また、注意事項として、QRコードやURLの転載や転売、譲渡を禁じると書いてあります(そのため、この記事の中でも、QR部分はボカしを入れました)。

本だけでは終わらない時代

私も関わった印刷物の中にQRコードを掲載し、リンク先のHPを見られるようにしたことがあります。
本や印刷物にURLが書いてあっても、それを入力するのはあまり現実的ではないので、QRコードは便利です。

ただ、この本のように、出版社が動画のコンテンツを見られる場所を用意しておく形式はやったことがありません。

この本の場合には、たとえば5年後に入手した人が動画を見られるのかどうか? そこは気になります。
出版社が販売をやめてしまっていれば、動画のサイトも閉鎖して見られなくなっているかもしれません。

一方で、この本を制作した方たちは、印刷物としての本の編集と同時に、動画の撮影やナレーションの録音、それらをまとめた動画とサーバーの準備、そして動画のup、さらには付属のチューブを発注して製本に回す、、、といった作業が必要です。
ある程度の部数が確実に見込める企画でないと、なかなかこれだけの手立てはできません。

本が簡単には売れない時代です。
出版社はそれぞれ、様々な工夫をしていますし、また、本が印刷製本されて一冊の形になっただけでは完結しない、そういう形も増えています。
そのことを感じさせる一冊でした。

こういう本を作るのは大変です。でも、そうやって用意された動画は、自分がトレーニングする上では非常に役立ちました。

hosokawakobo
細川生朗 Hosokawa Seiro
1967年生まれ。1991年に情報センター出版局に入社。『水原勇気0勝3敗11S』『いちど尾行をしてみたかった』『笑う出産』などのヒット作を編集。1994年に『きょうからの無職生活マニュアル』、1998年に『旅の指さし会話帳①タイ』を企画・編集。いずれも累計100万部以上のシリーズとなる。2001年に情報センター出版局を退職。その後、フリーの編集者として、実用書を中心にした単行本の企画・編集、自費出版の写真集や記録集の編集、社史の編纂などを手がけつつ、指さし会話帳シリーズの編集も続けている。